誰もが経験したことのある筋肉痛。もし筋肉痛を和らげる方法があるなら知りたくないですか?この記事では筋肉痛を最小限にするために今日からできることを7つ紹介します。
マッサージ
筋肉の収縮にはカルシウムイオンが引き金的に働いています。
筋肉痛が起こっている時というのは、強度の高い伸張性収縮によりこのカルシウムの働きがスムーズでなくなっている状態です。
対象筋肉への酸素供給を増やすことがこの状態からより早く回復するために有効に働いているのではないかと考えられています。
十分な酸素があることで筋肉が収縮するときに使われたATPとカルシウムをより早く筋繊維の内部に補給できるからです。そしてマッサージは(諸説ありますが)対象部位への血流量を増加させます。よって酸素供給量が増加しマッサージが筋肉痛を和らげるというわけです。[1]
超音波
骨折した箇所は腫れますよね?筋肉痛もこれと同じように傷ついた繊維たちが腫れを引き起こしています。超音波はこの腫れを筋組織を内部から温め血流量を増加させることで早く鎮めます。ある研究で脚トレ後の大腿四頭筋における筋肉痛の引きの早さを超音波グループと何もしないグループで比較しました。トレーニングの24時間後に超音波治療(1 MHz, 0.8W/cm2)を施した結果、超音波グループにのみ大きな痛み軽減が報告されました[2]
ストレッチ
これはほかの方法に比べたくさんの研究が行われてきていて賛否両論あります。この記事ではカバーしきれないので別の記事にします。
抗炎症薬の服用
アスピリン、ロキソニンなどの非ステロイド性抗炎症薬(Nonsteroidal Anti-inflammatory Drugs-NSAIDs)と呼ばれる薬も筋肉痛緩和に効果があるといわれています。これらは処方薬から市販薬まで幅広くあります。NSAIDsはしくろシクロオキシゲナーゼ経路中のアラキドン酸の代謝を抑制しエンドペルオキサイドやプロスタグランジン(炎症を引き起こす命令を伝える伝達物質)の生成を防ぎます。これにより炎症は軽減され、筋肉内に不要な水がたまったり過度な緊張状態に陥ることがなくなります=筋肉痛の軽減。[1]
筋膜リリース/フォームローラー
フォームローラーを用いた筋膜リリースも効果が証明されています。
まず、筋膜リリースとは筋肉を包み込んでいる膜(筋膜)と筋肉の過剰な癒着を剥がす(剥がすというのはあくまでもイメージ)というものです。
マッサージは筋肉そのものをもみほぐすのに対して、フォームローラーはもっと表面にある結合組織に働きかけます。
結合組織同士または結合組織と筋肉の癒着が軽減されることにより血中の乳酸、溜まっていた水分が、流れ出ていきやすくなるため筋肉痛の緩和に貢献すると考えられています。[3][4]
水分補給
水分不足は最大筋力、筋持久力、全体的なトレーニング効率の低下に加え、筋肉痛の重症化をも引き起こします。
水分が不足すると細胞外液の塩分濃度が上がり細胞内液が外に移動しようとします。細胞内外の液体が膜を通して行き来しようとする際にかかる圧を浸透圧といい、腫れやむくみ可動域制限などを引き起します。細胞内の物質が外に漏れだそうとし、パンパンになった経路を通ろうと神経が一生懸命頑張り、その神経の頑張りが痛みとして現れるというわけです。
厚生労働省によると、一日当たり2.5リットルの水が必要としていますが、一方でアメリカで最も権威がある大手クリニックの一つであるMayo Clinicによると男性で3.7リットル、女性で2.7リットル必要だとしています。そしてこれらのうち20%は食事から来ており残りの80%を飲料で補う必要があるとしています。[5][6]
クールダウン
トレーニング後のクールダウンはちょっとしたことのように見えて実はとても重要です。
全身に送り出される血液は心臓がポンプとして働きますよね。それが心臓に帰ってくるためには末端の筋肉が送り返してあげないといけません。
それがクールダウンの意味だととらえてもらって大丈夫です。
※心拍数や血圧を徐々に通常に戻してあげるのも重要な役割です。
この血液を心臓に送り返してあげるプロセスを怠ると、乳酸が筋肉中に溜まったまま排除されません。それが筋肉痛の原因となります。[7]
食べ物
食べ物、特に多くのフルーツは抗酸化作用を持っていて、傷ついた細胞の修復を早めてくれます。たくさんの研究で抗酸化作用、鎮痛効果をもつフルーツが発見されているので、薬を服用するより食べ物で治したいという方はぜひ。
詳しくは別の記事で解説しています。
どうでしたか。7つの中からコスト、手軽さなどから選んでみるもよし、時間と余裕があるなら全部試してみるのもよし。自分に合った方法を見つけましょう。ひとつ忘れないでおいて惜しいのは、トレーニングをするうえで筋肉痛はどうしても切れないものです。完全になくそうとするのではなく自分なりの緩和法を探して筋肉痛とうまくやっていきましょう。
[3] https://peerj.com/articles/3908/
[4] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4637917/
[5] https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics/bukyoku/kenkou/suido/nomou/index.html#03